aphanisis

日々のメモ

メモ

私は一点からしか見ることができません。しかし私は、私の実存において、いたるところから眺められているのです。 –––– ラカン・セミネールⅪ『眼と眼差しの分裂』 私のことを眺めている眼差しは、現実的な眼差しではない。この眼差しは妄想的であり、ラカン…

別の名

ひとは 私を抱きながら 呼んだ 私の名ではない 別の 知らない人の名を 知らない人の名に答えながら 私は 遠いはるかな村を思っていた そこには まだ生れないまえの私がいて 杏の花を見上げていた ひとは いっそう強く私を抱きながら また 知らない人の名を…

あたたかい女の手

これまでに何度葬式に参列しただろう。そんなに多くはないはずである。祖父、叔母、知人、知人の家族・・・。たぶん5回程度だと思う。忘れられない葬式がある。父の同僚の母君の葬式である。およそ一二ヶ月前にはボクの祖父が亡くなっていた。だから、あの頃…

今日我々は「独断と偏見」を大切にしなければならない

他者様のブログに惹かれる言葉が載っていた。発言主はジジェク。 私が思うに、最も傲慢な態度とは「ぼくの言ってることは無条件じゃないよ、ただの仮説さ」などという一見多面的な穏健さの姿勢だ。まったくもっともひどい傲慢さだね。誠実かつ己れを批判に晒…

狂おしいほどの清澄

ああ、僕はいまこの風景を前に、三木稔の箏曲を聴きながら煙草を吸っているのだが、なんという気持ちだろう。この懐かしき、狂おしいほどの清澄。 Miki Rhapsody for Koto.wmv まったく信じられる人間も、頼れる人間もいなくなった2年前の春。ボクは毎日学…

『日本狂詩曲』の名盤 –––– その5 (最終回)

○山田一雄 / 新星日本交響楽団 – 1980 おそらく、「この曲といえばこの演奏」的存在。1980年の山田一雄(1912〜1991)による伝説ライヴ録音。Amazonや他者様のブログなどのレビューを見ても、多くの方々がこの演奏をイチオシしているようである。私は「果た…

『日本狂詩曲』の名盤 ––––– その4

○沼尻竜典 / 東京都交響楽団 片山杜秀編集の「日本作曲家選輯」シリーズの記念すべき第一弾に収録されている。邦人作曲家たちの世界発信の力に多分になりうるであろうこの企画を遂行したナクソスには感謝します。沼尻竜典氏(1964〜)は恐らくこれしか伊福部…

『日本狂詩曲』の名盤 –––– その3

やっとこせ、ようやく『日本狂詩曲』の録音レビューを始めたいと思うが、評価にあたっての観点、いくつかの備考を始めに記述しておく。 ・順番は指揮者のアイウエオ順である。 ・評価は★で示し、5つを上限とする。 ・①演奏、②録音、③総合評価(①と②から計算…

『日本狂詩曲』の名盤 –––– その2

やあ、更新が遅れてしまった。忘れていたわけではありません。新しい録音を聴く機会ができたためである。そしてたった今思ったのだが、数ある録音から名盤だと思う数種を選んでそれについて書くのではなく、今まで聴いてきた録音たちを、ひとつひとつレビュ…

『日本狂詩曲』の名盤 –––– その1

この半年ほど伊福部昭の音楽を聴きまくっているのだが、もし「伊福部昭の名作を3点選べ」と言われたならば、現時点では『日本狂詩曲』(1935)、『郢曲 鬢多々良』(1973)、『ピアノと管弦楽のための「リトミカ ・オスティナータ』(1961)を選ぶ。 では、…

そう、そこ、、、そこをもっとつよく、、、

むかし交際していたある女は極度のマゾヒストであった。ボクは女が倒錯者であることをなんとなく知りつつ付き合ってしまった。恋人の望むことを達成することが恋人の態度だと考えていたボクは、彼女の求めるような人間になっていった。女は自らを奴隷や犬の…

ああしかしおんなは

どうしても再会たかった2人の友人と話すことができた。中学時代の友人数人いる席でだが。いま思うと、ふたりとも大きく変わっていた。おとこは髪を短くして、恋人をつくっていた。軽音部に入ったからか、指は逞しくなっていた。もうクラシックは聴いてなかっ…

Son of Saul

この作品を改めて観た。穏やかに死ぬためには、なにかへの希望は不可欠であることを教えられた。おそらく主人公は、穏やかに死ねたはずだ。

ちょっと「反則」の可愛さ(古臭い上に単調な言い回しだが)じゃないか… アタクシは髪を抑えるひと(男性 / 女性)にひどく胸を打たれてしまうのですが、いやはや、再確認の深夜である。

わたしたちはみえないものを いっしょうけんめいみようとしている

武満徹の『系図 ―若い人たちのための音楽詩―(Family Tree - Musical Verses for Young People - )』を知ってしまった。 デュトワ/N響:武満徹作品集 あああああああ…。至上の星、風の涙、抑圧した(された)はずの記憶、海の息、街の眠り、みえる、聴こ…

死ぬのか

おい、あんたもう死ぬのか落ち着いた方がいい。興奮しなさんな。一緒に川を眺めたとき、あんたは生きていたいって言ったじゃんか。結局あんたの勝手だがさ、「やめとけ」くらいは僕だって言います。

最初の白い星がひとつ最も高い

尾崎喜八の詩から(作曲:多田武彦) 関西学院グリークラブ 指揮:北村協一 アタシはいま屋根の上で春宵の流星群を求めているのだが、聴いていた音楽、特に一曲目の詩にひどくやられてしまった。 いま 野には大きな竪琴のような夕暮が懸かる。厳粛に切られた…

画面ふきふき

風呂に入るのが嫌いで肌や髪のコンディションは雑なのにiPhoneは馬鹿みたいに拭いてたあの女はいま思えば強迫洗浄の一形態に他なりませんよ

「書を捨てよ」つったって

「書を捨てよ、町へ出よう」つったって。もはや町が書じゃないかいな。

The Tides of Manaunaun

The Tides of Manaunaun _ piano : Elif Onal

消失点から発車した車内は夢で慕い人に殺された

電車がすきだったマワタリよ どの教科のノートの表紙にも かならず一点透視図法を駆使して 電車を描いてたマワタリよ 美術の時間 遠近法の授業の時間 美術の先生はお前に 教えることはなにもない とまで言っていたっけ ボクは何冊もマワタリに 西村京太郎の…

惚れてしまった

György Ligeti Mysteries of the Macabre 2015

知らされていた運命

–––– こんな運命だなんて知らなかったとエディプスは言ったけれど、実際かれは、自分の結末が悲劇的なのを知っていたんじゃなかろうか。あるいは、欲望してたんじゃないか。

折柄簫笛琴箜篌の妙なるしらべ

箜篌が『連獅子』の唄に登場している。とてもマイナーな楽器の印象があるのだけれど、唄にあるくらいだから全く知られていなかったわけではないのか。 折柄簫笛琴箜篌の妙なるしらべ聞こゆれば、 –––– 『連獅子』

春花見

おみなごひとり おのこひとりとわたくしと 花見行楽ゆきました はるもみじ 梅の木 木瓜の木 桜の木 つくし 葦の葉 チューリップ おみなごひとり おのこひとりとわたくしと 食べつ唄いつしておりました おみなごがそそぐ和茶紅茶 おのこの食べるラタトゥイユ …

悟られぬこそ浮世なれ

今は昔の語り草、 あら恥ずかしの我が心、一度まみえし女さえ、 迷いの道の関越えて、 今また爰に越えかぬる、 人目の関のやるせなや、 あゝ悟られぬこそ浮世なれ –––– 『勧進帳』

谷川俊太郎万歳

谷川俊太郎が「好きなんだ」とはまだ言えないアタクシではあるが、彼の『なんでもおまんこ』に共感できないひとを、僕は激しく嫌悪してしまうんじゃないだろうか。こころが翳って、死を思ったとき、すべてがどうでもよくなりゃしないかね。風のそよめきに生…

倒錯のまなざし

ジジェクによれば、性行為の際、われわれは想定の第三者の眼差しに依拠する。 貧乏な田舎者が、乗っていた船が難破して、たとえばシンディ・クリフォードといっしょに、無人島に漂着する。セックスの後、女は男に「どうだった?」と訊く。男は「すばらしかっ…

艶やかな色気と、爽快な笑いで、軽やかに

およそ、生真面目な悲劇性ほど〈知〉にふさわしからぬものもまたとあるまい。何にもまして、艶やかな色気と、爽快な笑いとで〈知〉を軽やかに彩らねばならぬ。そして、いくぶんかの距離の意識をもって、言葉にしなやかなうねりを与えること。実際、動くこと…

リアルの充実なんてあるわけない

朝早くより長唄『勧進帳』の「瀧流しの合方」をピアノに編曲して昼までジジェク、安吾、茨木を読んで東大出版の『知の三冊』シリーズ、『戦艦ポチョムキン』、『存在の耐えられない軽さ』、『カサブランカ』 –––– 中身のディスクは間違ってあって『哀愁』だ…