aphanisis

日々のメモ

あたたかい女の手

これまでに何度葬式に参列しただろう。そんなに多くはないはずである。

祖父、叔母、知人、知人の家族・・・。

たぶん5回程度だと思う。


忘れられない葬式がある。父の同僚の母君の葬式である。

およそ一二ヶ月前にはボクの祖父が亡くなっていた。だから、あの頃家族は惨憺としていた記憶がある。父も母も哀しげだった気がする。

ボクかい?ボクはわからなかったよ。なんだ「死ぬ」って。いまだってわかんねーよ。


同僚の母君の葬式のとき、ボクは故人の孫娘(父の同僚の娘)につきっきりだった記憶がある。

とても美しい女性だった。色白で、喪服に色を感じたのは初めての体験だった。



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火葬場に向かう車中、ボクは女性の手をずっと握っていた。

遺影を右手で抱え、声を殺して泣いていた。女性の左手はあたたかかった。喪服につけた涙の点が哀しかった。





・・・それから暫くして、父が知り合いの比叡山の僧侶に電話していたときのことである。ボクは父の話を何気なく聞いていた。あの女性の話をしている。

「その女の子は心を少し病んでしまっているのです。言い方は悪いですが、その、昔交際していた男に遊ばれて、まあ、玩具にされてしまったのです」。